岡山動物医療センター 院長の曽根です。
手術中の出血や病気などにより体の中の血液が少なくなってしまった場合、輸血をする事があります。
その時実際に患者の血液と提供された血液とを混ぜ合わせ、輸血をしても安全かどうかを検査します。
この試験の事を交差適合試験(クロスマッチ)と言います。
この試験には主試験と副試験とがあり、主試験は患者血清と供血動物の血球との反応
副試験は患者血球と供血動物の血漿との反応で溶血や凝集反応を調べます。
去年フランスのAlvedia というメーカーのLab Test XMというクロスマッチキットを導入しました。
これまでは輸血適合・不適合を判定する際、顕微鏡を使用し人が判断していましたが、このキットでは試験紙上のラインとして結果が表れるためわかりやすく、また検査時間がずいぶんと早くなり、緊急の輸血時に役立ちます。
人と同じように輸血を必要とする犬や猫はたくさんいます。
しかし、これまで多くの命を助けてきた病院犬2匹、魚春くんとトリトンくんがこのたび高齢のためリタイアすることになりました。
そのため今後は当分の間、血液の不足が予想され、緊急の課題となっています。
小動物診療における輸血医療には様々な問題がありますが、今後も救える命を救いたいという思いのもとに献血ボランティアの募集等早急な対策をとっていくつもりです。
これからもよろしくお願い致します。